がんと免疫1
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12がんと免疫❶免疫が切り拓く「がん治療」の未来 わたしたちの身体は日々、細菌やウイルスなど多くの病原体にさらされています。病原体は、食事や呼吸などからも体内に侵入しますが、その度に重い病気にかからないですむのは、「免疫」というすぐれたシステムのおかげです。 その中心的な役割を果たしているのが「免疫細胞」と総称される細胞集団です。免疫細胞は、侵入してきた細菌類やウイルスに感染した細胞、また正常な細胞が突然変異を起こして発生したがん細胞など、身体にとって危険な病原を、直接あるいは間接的に攻撃し、緻密に連携して戦う戦闘集団です。 免疫細胞には、さまざまな種類と役割があり、それらがみごとに連携して、わたしたちの身体を守っているのです。病原体から身体を守る精密な戦闘集団リンパ球系血小板顆粒球系赤血球系巨核球系単球系T細胞胸腺で教育、選抜され、異常細胞を見分けて攻撃する能力を身につけたリンパ球。特定の病原体や異常細胞を攻撃するキラーT細胞や、B細胞に抗体をつくる命令を出したり、キラーT細胞などの活性化をうながしたりするヘルパーT細胞などがある。NK細胞T細胞のように特定の異常細胞を攻撃するのではなく、常に身体のなかを巡回し、がん細胞やウイルス感染細胞などの異物を単独で殺傷する。NKはナチュラル・キラーの略で、その名の通り生まれついての「殺し屋」。NKT細胞T細胞とNK細胞の双方の性質をもつ。異常細胞を認識し、傷害することができる。B細胞細菌やウイルスなどの病原体の働きを止めたり、ほかの免疫細胞が病原体を攻撃する際の目印になる「抗体」を産生したりする。マクロファージ樹状細胞と同様、病原体や異常細胞を取り込んで、酵素で分解処理するアメーバ状の細胞。また正常な生理現象によって生じた細胞の残骸なども取り除く異物処理係。好中球とくに細菌類やカビを食べ、効率よく殺菌除去する。顆粒球の大部分を占める。好塩基球過剰な免疫応答が原因で起きるアナフィラキシーショック(アレルギー反応のひとつ)の原因となるヒスタミンなどが含まれている。好酸球おもに寄生虫などからの感染防御機能をもつとともに、炎症などを制御する働きもある。赤血球核のない細胞で、酸素を運ぶ役目を担う。変形して毛細血管を自由に通過することができ、一日に約2000億個がつくられる。さまざまな形をしており、極小。出血を止めるのに重要な役割を担っている。1日に約1億個がつくられている。樹状細胞病原体や異常細胞などを取り込む貪食細胞。取り込んだ病原体や異常細胞の特徴を表面に提示して、T細胞にその特徴を伝える重要な役割を担う。白血球の一種で、リンパ節・胸腺などで分化成熟し、免疫システムを担うようになる。白血球のなかで最も大きい単核の細胞。樹状細胞とマクロファージの総称。細胞内に顆粒が見られる細胞で、白血球のうち、好中球、好塩基球、好酸球の総称。白血球︵免疫︶白血球の約30%を占める白血球の約5~7%を占める白血球の約60%を占める免疫細胞の大きさは7~25μメートル(μメートル=1ミリメートルの1000分の1)。わたしたちの身体のなかにあるこの小さな細胞たちの働きぶりが、近年遺伝子レベルで解明されるようになった。それにより、がん治療に新たな可能性が広がってきている。

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