がんと免疫1
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17リンパ節リンパ節リンパ節扁桃扁桃腺胸腺骨髄腸管リンパ節脾臓パイエル板1882~83年●ドイツの医師で細菌学者のロベルト・コッホが結核菌、コレラ菌を発見 伝染病は特定の微生物が体内に侵入することによって発症するという仮説を立証。コッホの研究は、現在の細菌学の基礎をつくった。1885年●フランスの細菌学者、ルイ・パスツールがワクチン療法を開発 伝染病の研究を進めていたパスツールは、狂犬にかまれた少年にワクチン治療を初めて試みて、成功を収めた。1890年●ドイツの医学者アドルフ・フォン・ベーリングと北里柴三郎が共同で免疫現象に「抗体」が関与していることを発表 北里柴三郎はコッホに師事した日本の細菌学者。ベーリングとともにジフテリアと破傷風の抗毒素を発見し、免疫学的理論に基づく血清療法の基礎を築いた。1980年●WHOによる全世界天然痘根絶宣言1981年●エイズの第一症例が報告される 免疫機能を破壊される新たな病気としてエイズの症例が世界で初めて発表された。この年の症例報告後、わずか10年程で感染者は世界中に100万人までに広がった。2011年●樹状細胞の役割の解明によって、ラルフ・スタインマン教授がノーベル生理学・医学賞を受賞。Column2 免疫の力が解明されるにつれ、その考え方はさまざまな医療現場で活用され始めました。がん治療の現場も例外ではありません。 T細胞などの攻撃部隊が活性化・増殖すれば、がんを攻撃し続けるはずです。しかし前述のように、がん細胞は免疫細胞の攻撃や増殖を止めるような能力ももっており、さらに肉眼で見えるほどに成長した腫瘍のがん細胞は、数億個以上。免疫細胞優位の状態であれば、がん細胞を全滅させることも夢ではありませんが、免疫細胞よりがん細胞の力のほうが強くなってしまった場合、免疫細胞にとって状況は限りなく不利になります。 こうした免疫とがんの力関係に着目したがんの治療法が、「免疫細胞治療」です。一度免疫細胞を体外へ取り出して攻撃力や数を増幅させてから、再び体内へ戻して、がんを攻撃しようという治療法で、自分の細胞を使うため、重篤な副作用はありません。がんの種類やステージを問わず受診することができ、抗がん剤や放射線治療などの標準治療との併用で相乗効果が見込まれます。 免疫とがんの研究は、日進月歩で進んでおり、「最後まであきらめない治療」として、免疫細胞を使った治療法が注目されています。免疫細胞治療はがんの集学的治療の基盤免疫細胞治療は、微小ながんに対しても作用するため、術後の再発や転移予防に効果が期待されている。また、進行がんの場合でも、できるだけ早い段階で三大療法と併用すれば、体力の消耗を防ぎながら、メインの治療法の効果を高める可能性も期待できる。免疫細胞治療はがん治療の新たな選択肢ロベルト・コッホルイ・パスツール北里柴三郎免疫細胞はどこで生まれる? 血液細胞である免疫細胞は、骨の中心にあるスポンジ状の骨髄で生まれる。骨髄は免疫細胞の生産工場ともいえる大切な器官である。T細胞だけは、骨髄でつくられた細胞の一部が胸腺に移動し、そこで形成される。こうしてつくられた免疫細胞は、血管を通ってT細胞やB細胞をストックする脾臓、T細胞やB細胞が集まるリンパ節、外来の侵入物を防御する砦のような腸管内のパイエル板などに移動し、働き始める。T細胞やB細胞の貯蔵場所T細胞やB細胞が集まる免疫細胞の生産工場

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